2017年06月09日

JASRACによる音楽教室からの著作権料徴収について。

JASRACによる音楽教室に対する著作権料徴収なんだけど、音楽教室は教材に使う音源購入時、楽譜購入時、そして発表会の時に著作権料、支払ってる。で、生徒は私の知る限り、教材に使う楽曲は正規に購入してる。だからJASRACは教師の生徒に対する模範演奏等を「公衆に対する上演」と見なして課金しようとしているんだと思う(そこしかないし、実際JASRAC側の人間もこれに言及していた)。教材の音源をコピーして生徒に配ったらこれは複製権の侵害にあたり、刑事罰の対象になるしね。
まず、楽器メーカーが経営する教室に対して、楽器を売る目的のために他者の著作物を利用して云々、と言う主張があったけど、我々音楽家は、メーカーの楽器を利用して音楽作って、それで対価を得ているんだから、この部分はイーブンでいいんじゃなの?(もし、JASRACの主張が裁判で認められたら、楽器メーカーには、JASRAC会員には当社の楽器を販売しません、とかやって欲しい。多分、評価されるよ)

変な喩えなんだけど、調理器具メーカー運営の料理教室に対して、そのレシピ考案者が印税払えと言い出して、調理器具メーカーが、うちの調理器具があるからそのレシピ出来たんだろう、って言い出すみたいな、そういう馬鹿らしさがここにはある。

そしてJASRACは将来的に個人の教室も対象にする、って言ってるよね。これ徴収の根拠としては矛盾じゃない?
個人が少数の生徒に模範演奏して、それが上演?
屁理屈もいいかげんにしろ!だな。
まあとにかく、包括徴収、って言っている以上、取らんかな、と見做されて仕方ないね。
ところで、自作曲の教室からの徴収反対!っていうJASRACメンバーの音楽家、日本にはいないの?
これ、指くわえて見てるの?
正確に分配されるはずもない制度なのに、ちょっとでも収入の足しになれば、それでいいの?
楽器メーカー運営の音楽教室で育った作曲家、少なく無いと思うんだけどねえ…

posted by ubuman at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽の仕事

2013年08月03日

CMで苦労した話

かつて私は、CM音楽を作って生計を立てていました。だからこそ「三井のリハウス」や「住友生命」のサウンドロゴを作ったんですけど。クライアント起業を提訴したことで、この仕事で生計が立たなくなり、今こうしてフランスに住んで、主にシンセの音作りで生計を立てているわけですが、よく考えたら世界中どこに住んでもいいわけで、ヨーロッパならもっと物価の安いドイツとか、色々選択肢はあるのだけれど、娘がもうフランス語バイリンギュアルになってしまったとか、文化教育がすばらしいとか、特にこのグルノーブルは水道水がアルプスの天然水だとか、景色がいいとか、イタリアが近いおかげで、フランスの他の地方では入手しにくい食材も豊富とか、色々メリットがあるので、他に移住する気には中々ならないでしょう
話変わって、CM音楽の話。
この仕事のいいところは、音楽的に様々な実験が出来る、という事です。ヒットを狙った曲である必要がないので、様々な冒険ができるのです。見る人の注意を音で引きつけたりする必要もあるので、前衛的な手法もふんだんに使えました。
記憶が確かなら、オーケストラのトゥッティ(ジャン!というあれ)を最初にCMで使ったのは私だと思います。ホンダのLEADというスクーター。
しかしいいことばかりではありません。例えば自分が提灯持ちをした起業が、犯罪企業だったりしたことが発覚すると寝覚めが悪いのです。電力会社のCM、予算も多くて自由に曲作りが出来て、数多くのいい作品を作ることが出来たのだけれど、3.11以来、電力会社が如何に阿漕かが露呈してしまい、あれからずっと嫌な気分を味わっています。
そのCM音楽も、時代とともにオリジナリティが要求されなくなり、既成曲のパクリを求められることが多くなり、徐々にあまり魅力のない仕事になってしまいました。
なんでCM音楽の話を始めたかというと、ふと、あるエピソードを思い出したからです。
小田急のCMでの苦労体験。
BGMとサウンドロゴの両方を作ったんですが、問題はサウンドロゴ。うっかりすると「オバQ」に聞こえてしまいます。
だから、誰が聞いても「オバQと」空耳しないようにメロディとリズムを工夫しなければならないのだけれど、これが簡単じゃありません。元々似ているんだもん。でも、おっ、だっ、きゅーとリズムを跳ねさせることでどうにか切り抜けました。
この手の苦労は他に「紀陽銀行」のCMソング。
これは器用貧乏と空耳する懸念がありました。銀行と貧乏は母音が同じですしね。そこでこの時はディレクターの発案で「紀陽バンク」にしたと思います。空耳しようがないし、かりに器用バンクと勘違いされても、悪くない。
あと、一時期、CM音楽制作現場には出来ればクライアントの担当者は来て欲しくないというのがありました。
グリコ・森永事件が世間を賑わしていた頃です。
音楽制作現場というのは、基本明るいです。でもGで始まるその企業の宣伝担当がスタジオに来ると、空気は急に重苦しくなります。なんかもう見ていられないほど陰鬱な表情で、ため息ばかりつくし、もうそれはそれは悲惨。まあ、仕方ないんですけどね。冗談などとてもじゃないけど言えません。
ミュージシャンというのは陽気な人も多いですが、基本、頭のおかしい人ばかりです。だから、スタジオ内でとんでもないこと言い出したりします。
あるキーボード弾き、CM音楽制作のスタジオで、演奏直後にいきなり「面白いネタ思いついた」と言って「よくしまるあそこのセーラー服と一晩中!」と叫んだとか。当事は淫行罪がなかったので、まあ、こう言う発想あってもおかしくはないのですが、一般社会の住民である、クライアントの宣伝担当は目が点。プロダクションの人、どうやって取り繕ったんでしょうね。
posted by ubuman at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽の仕事