以前、この問題に関して、サウンドロゴが著作権法上の著作物に該当するかどうかの判断を避ける可能性があると書いた。しかし、JAMなどの業界団体の解釈では「サウンドロゴは、その性質上、一定の制限が発生するが著作物である」との見解が既に定着している。だからこそ、損害賠償を求めると同時に「確認訴訟」も起こしているのだ。
しかし裁判所は近年、この手の法律判断を避ける傾向があるらしく(合法か違法かは判断するが、法律そのものの内容に踏み込まない)、その行く末は今だ霧の中だ。
仮に裁判所(地裁)が、著作物性の判断を避けた場合、私はどうすればよいか。この場合問題になるのが、まずは賠償金だろう。裁判所が賠償金額を幾らと判断するか、である。これがあまりに低い場合、今後この手の問題に対する、抑止力とならないかもしれない。つまり「万が一訴えられてもこの程度で済む」という認識を持たれてしまう恐れがあるのだ。
作曲家が楽曲の不当使用によって、財産権を奪われ、泣き寝入りを強いられる、という問題の発生を防ぐためには、問題の原因となる企業が「こんな痛手を受けるくらいなら、きちんと契約しよう」と言う意識を持ってくれないといけない訳で、それにはそれ相応の金額が必要になる。
正直言って、今回の賠償請求額が満額認められたとしても、社員一人の平均年俸には達しないであろう程度の金額なので、これが企業にとって、痛手かどうか、はなはだ疑問に思える今日この頃だ。もちろん原告にとっても、裁判にかかる費用と時間、裁判を起こしたことで既に発生している様々なデメリットを考えれば、満額出たところで喜ぶ程のものではないし、サウンドロゴは著作物である、と言う判断がなされず、賠償金も大幅に減額された場合は、ダメージだけが残る上、同様な問題の抑止力にもならなければ、一体この裁判で何が残るのか、また、その後どのようなアクションを起こせばよいのか。
提訴から半年以上が経過した現在でも、今だ「ソレミー」と「ソーミー」の違いなどという初歩的な内容に拘泥し、本格的な口頭弁論さえ始まっていない状況の中で、不安と焦燥感だけが募っていく。
無理とは知りつつも裁判の迅速化を切に願うものである。
2006年07月05日
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名もない若造です。
はじめの頃から一連ROMさせていただいていました。
「ubuさん応援励まし署名」? に一票です。
裁判には何の力にもならなくとも、微力ながらubuさんを後押しする力になれば幸いです。
台風が近づいています。南国の台風を舐めてはいけません。
要警戒です。
お体をご自愛くださいませ。
台風、凄いですよ。頑丈なサッシの隙間から、雨水が浸入してきます。引っ越しの際に、こちらの友人から「窓の近くに楽器を置いてはダメ」と言われ、まさかそっこまでと思いましたが、その通りでした。
訴訟の当事者となって、特に、個人が企業相手に
訴訟しているのですから当然だと思います。
覚悟して踏み切ったとしても、いざ始まってみると
独特の緊張感とか、息苦しさはいかんともしがたい
ですよね。
言わずもがな、ですが、判決にこだわるか、
和解で終わらせるかは極めて難しい判断ですよね。
が、結論はご自身で納得いくまで悩んで決断されるべきかと。
リスクをとるか、実利をとるか、のようなことで、
具体的な選択肢や可能性は弁護士に聞くしかありませんが。
逆に、相手側からすると(というか一般に企業としては)、
なんとしても判決を避けたいはずです。
敗訴なんてことになったら、たとえ、損害賠償額が
低くなったとしても、「著作権違反で敗訴」という報道
がなされると、けっこうなダメージですから。
特に、訴訟にすることを決定した担当者や役員なんかは
立場ないでしょうからね。